2018.03.23
治験は新薬を開発するために行われる過程であって、何よりも直接「人間」を対象に効果を試すことが特徴となります。現在の医学ではまだ治療法が見つかっていない病気、治療法に非常に重い副作用があったり高い費用が必要な病気を主な対象として治験が行われていています。今回は最近、実際に行われている治験や計画されている治験などを紹介します。
1.人工骨(歯のインプラント用)
もともとの医療インプラントは水酸アパタイトを使用する場合が多いですが、この治療法を用いるには患者の骨を採取する必要があるそうです。このような過程は、高齢者や健康状態が良くない患者に大きな負担を与えます。そこで九州大学で開発したのが人間の骨により近い炭酸アパタイトを使用した人工骨です。治験は九州大学病院の22人の患者に対して実施され、全員に速やかな効果が観察されたとのことです。
2.オプジーボ (小児がん治療)
オプジーボは肺がんや皮膚がんの治療効果がある薬とされていて、現在、投与は成人のみに限られています。国立がん研究センターは、この薬が小児がんの治療に役立つかを調べるために日本国内初で治験を行っています。計26人の子供が対象となり、その中でも2種類以上の抗がん剤が投与されたにもかかわらず効果が見られない患者に治験が行われるそうです。
3.ES細胞
現在、注目を集めているヒトES細胞は色々な体の細胞に変化する特殊な性能を持っています。去年の夏に国立成育医療研究センターが国にES細胞を利用した治験の承諾を申し込む予定だという記事がありました。治験対象は肝臓と関わりのある先天的「高アンモニア血症」をかかえる乳児で、治験にはES細胞を利用して作った新たな幹細胞を乳児の肝臓に移植する過程が含まれます。移植後に血液内のアンモニアの濃度が下がるかどうかを観察し、効果を確かめるのが目的だそうです。通常、高アンモニア血症は肝臓の移植が必要ですが、患者が乳児である場合、手術を行うには大きなリスクが伴うため、ある程度の生長期間を待たなくてはなりません。治験が成功したとしても肝臓の移植を代替できるわけではありませんが、肝臓移植が行われる前の乳児の安定確保が期待されています。
このような例以外にも、たくさんの治験が実施されたり計画されていたりします。上記の確実な結果が出ている人工骨のケースのからも、私たちのよりよい健康とより改善された治療法を提供してくれるベースになるのが治験だという事がわかりますね。
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