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医学

2018.01.30

ウイルス・細菌と健康

私達の生活の中で細菌やウイルスは思ったより身近にいるものです。万が一、感染が生じた場合は一刻も早い対応が必要となります。今日はウイルスと細菌は正確に何なのか、予防方法と日本とイギリスの治療法を比較してみたいと思います。

ウイルスとは?

DNAまたはRNAが存在し、外はたんぱく質で覆われているため宿主となる細胞がないと生物的特長を持つことが出来ません。細菌よりもはるかに小さく、また遺伝的変異も起こりやすいため一定的な効果を持つ薬を作ることが難しいと言われます。

感染ステップ

1.細胞の表面に吸着する。

2.ウイルスのたんぱく質が細胞の表面の分子を吸着する。

3.ウイルス内のDNAまたはRNA(核酸)が細胞の中に注入される。

4.注入された核酸が大量複製される。

5.細胞の破壊により外部に放出される。

ウイルスの症状と治療法をどんな核酸を持っているかによって紹介したいと思います。核酸がRNEのウイルスは、核酸がDNAの場合よりも変異が生じやすいため薬剤の開発が難しいと言われます。

核酸がDNA

① B型肝炎

肝臓の細胞が破壊され、肝臓の働きが悪くなる。感染力が高く、血液によって感染される。(注射針の使いまわし、愉輸血、母子肝炎など)。子供の患者の場合母親を通して感染する場合が多い。全世界では約3億5千人、日本では130万人の感染者がいるとされている。

日本では35歳以上で症状が悪化する場合、免疫療法、抗ウイルス療法または肝庇護療法で治療が行われる。(インターフェロン、ラミブジン、エンテカビルなどが処方される)。

イギリスでは症状がまだ良い場合はPeginterferon alfa 2-aを注射で投入し治療する。

② 疱疹

ヘルペスとも名乗られ、皮膚に水泡が生じるウイルスである。接触感染によって発病し、熱やかゆみ、痛みを症状とする。

日本では、バラサイクロビル、アシクロビル(ゾビラックス)の内服で治療する。

イギリスでは、Valaciclovir 500mg For First Time Herpes Outbreak, Valtrex (Valaciclovir) 500mg For Herpes Outbreak などが治療に使用される。3

核酸がRNA

① HIV

体の中の免疫を保つT細胞を破壊し、免疫不全が生じエイズが発病する。潜伏期間が長く症状も比較的軽いとされる。体液を通し感染される。

日本では3~4個の薬を組み合わせて内服する治療法が使われている。(HAART治療法)

イギリスでは感染が予想される72時間内にPost-exposure prophylaxis (PEP)を服用する治療法や、感染が判明している状態の場合はAntiretroviral medicationsやいくつかの成分で出来ている薬を使う。

② 日本脳炎

蚊などにより感染する場合が多い。流行時期は約7月から10月までであり、発熱、嘔吐、腹痛を伴う。特効薬はまだなく、ワクチン接収が勧められている。

③ 麻疹

幼児、小児に多く、潜伏期が約10日である。最初は発熱や咳など風邪に似たような症状が現れ、時間がたつと皮膚に小さい赤い発疹が顔から全身に広がる。発病から約8日すぎると回復が始まり肌がはがれしみが残る場合がある。特効薬はなく、のちの合併症を予防する目的で抗生物質を用いる場合もある。

細菌とは?

体内の中で自己分裂しながら増殖し、細胞に侵入したり毒素を出して細胞を破壊します。人体に悪影響を及ぼすものもあれば欠かせないものもあります。治療には抗菌剤が用いられ、細菌の特性によって異なるものが処方されます。

①ジフテリア

主に2~6歳の小児に現れ、ジフテリア菌によって呼吸器の粘膜がはれる。呼吸困難を及ぼし回復期には神経麻痺や心筋障害が生じる場合もある。日本では抗毒素血清を注射し治療する。イギリスでも日本と同じように抗毒素血清を利用するほか、抗生剤も使われる。

②破傷風

年齢に関係なく発病する恐れがある。錆や土の中に存在する破傷風菌が怪我を通して体内に侵入し増殖すると筋肉に硬直または痙攣が生じ激しい痛みを感じる。窒息や心臓麻痺で死亡してしまう場合が多い。日本では毒素に効果的な抗毒素血清と痙攣に効果的な強い鎮静薬を用いる。イギリスでは発病する恐れがあると判断される場合、肺を洗浄しtetanus immunoglobulinを用いる。発病した場合はtetanus immunoglobulinの他にも抗生剤を利用する。

③百日咳

小児に多い感染病だが成人も感染する場合がある。熱はない事が多く、目の充血、涙、鼻水、痙攣性の咳が症状である。3~4週間続いたあとで回復期へと向かう。日本では発病から1~2週間目にエリスロマイシンを用いるが、これはどちらかといえば二次感染の予防に効果的である。重症乳児には静脈注射用γ(ガンマ)‐グロブリン製剤なども用いられる。

イギリスの場合最初の感染後、最初の三週間は抗生剤が用いられることもある。

下記の表は、日本とイギリスの定期的または任意予防接収時期と種類を整理したものです。お子様がいらっしゃる方の参考になると嬉しいです^^

日本とイギリスの定期的または任意予防接収時期、種類の比較

イギリス 日本
2ヶ月 ① 6種混合:ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、B型ヘモフィルスインフルエンザ菌、肺炎、B型肝炎

 

② PCVワクチン

 

③ ロタウイルスワクチン

 

④ 髄膜炎菌群B細菌ワクチン

① B型肝炎

 

② B型インフルエンザ

 

③ 小児肺炎

3ヶ月 ① 6種混合 再接収

 

② ロタウイルスワクチン 再接収

①4種混合:ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ

 

② B型肝炎 再接収

 

③ B型インフルエンザ 再接収

 

④ 小児肺炎 再接収

4ヶ月 ① 6種混合 再接種

 

② PCVワクチン 再接種

 

③ 髄膜炎菌群B細菌ワクチン 再接種

① 4種混合 再接収

 

② B型インフルエンザ 再接収

 

③ 小児肺炎 再接収

5~8ヶ月 ① BCGワクチン
1歳

 

1歳~

① 2種混合:C型髄膜炎、B型ヘモフィルスインフルエンザ菌 ワクチン

 

② MMRワクチン:麻疹、おたふく風邪、風疹

 

③ PCVワクチン 再接種

 

④ 髄膜炎菌群B細菌ワクチン 再接種

① MRワクチン: 麻疹、風疹

 

② 水痘

 

③ B型インフルエンザ  MMRワクチン

 

 

3歳 ① MMRワクチン 再接種

 

② 4種混合:ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ

① 日本脳炎
11歳 ① DTワクチン:ジフテリア、破傷風

 

 

12~13歳 ① HPVワクチン(女子のみ) ① HPVワクチン(女子のみ)
14歳 ① 3種混合:ジフテリア、破傷風、ポリオ

 

② A、C、W、Y型 髄膜炎ワクチン

65歳~ ① PPVワクチン

 

② インフルエンザ(毎年)

① 成人用肺炎球菌ワクチン

 

② インフルエンザ(毎年)

ワクチンは体内に弱めた少量の病原体を注入することで、その病気に対する免疫を作らせるものです。免疫が弱まっている状態だと逆に発病してしまう可能性があるため健康な状態でワクチンを受ける事が大切です。

ワクチン以外にも日ごろから手洗い、マスク着用など身近な予防をすることも大切です。

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