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化学分野

2018.02.08

化学と翻訳

化学関連の翻訳は一見すると難しそうに見えます。ですが化学は色々な決まりがあるのでコツさえつかめれば翻訳が一段と簡単になります。今回は英訳を主に様々な例を挙げて翻訳の方法を見てみましょう。

1.元素

日本語で「~素」という語尾が付く元素である場合、英語では全く違った名前を持つようになります。語尾に「~素」が付く元素の数は11個しかありませんが、翻訳時注意が必要です。‘素’で終わる元素のほかにも漢字表記で表す銅、亜鉛、金などの元素が存在します。(これらは中国から漢字名を適応したものと日本で考案された和名のものが含まれます。)そして元素の中にはカタカナ表記であるものの、英語では違った名称を使用するものもあるためこれもまた気を付けましょう。

下記の表は元素の中でカタカナ表記ではないものと注意が必要なものの英訳を表します。

元素番号 元素 日本語 英訳
H 水素 hydrogen
B ホウ素 boron
C 炭素 carbon
N 窒素 nitrogen
O 酸素 oxygen
F フッ素 fluorine
11 Na ナトリウム sodium
14 Si ケイ素 silicon
15 P リン phosphorus
16 S 硫黄 sulphur
17 Cl 塩素 chloride
19 K カリウム potassium
26 Fe iron
29 Cu copper
30 Zn 亜鉛 zinc
33 As ヒ素 arsenic
35 Br 臭素 bromine
47 Ag silver
50 Sn スズ tin
53 I ヨウ素 iodine
78 Pt 百金 platinum
79 Au gold
80 Hg 水銀 mercury
82 Pb lead

 

日本語だけでなく、この表が含む元素たちは他の言語でも固有の名称を持ちます。その中でも韓国語が日本語と似ていて、韓国では同じ漢字をベースに韓国式の読み方で元素を名付けます。例えば水素は ‘수소’(スソ)、炭素と窒素と酸素は発音までほぼ同じでそれぞれ ‘탄소’(タンソ) ‘질소’(チルソ) ‘산소’(サンソ)と呼ばれます。また、ブルガリア語の場合、水素はВодород(ヴォドロード)、酸素はКислород(キスロロード)と言った形で翻訳出来るため、日本語で使う「~素」の代わりに「~ロード」が使用されているということが分かります。

 

2.化学物質

化学物質は同じような特徴を持つもの同士で決まった名称が存在します。

~ate 比較的多数の酸素を含むイオン

~ite 比較的少数の酸素を含むイオン

~ide 酸素を含まない単原子イオン

例)

PO₄³⁻ Phosphate リン酸塩
PO₃³⁻ Phosphite 亜リン酸塩
P³⁻ Phosphide リン化物

 

NO₃⁻ Nitrate 硝酸塩
NO₂⁻ Nitrite 亜硝酸塩
N³⁻ Nitride 窒化物

 

  1. IUPAC 命名法

化学では欠かせない有機化合物と無機化合物の世界的命名法もカタカナ表記だけでは正確な名前を把握することが難しい場合があります。いくつかの有機化合物質の例を見てみましょう。

日本語 英訳
飽和炭化水素(アルカン) Alkane
不飽和炭化水素(アルケン) Alkene
不飽和炭化水素(アルキン) Alkyne
ハロゲン化アルキル Halogenoalkane
アルコール alcohol
エテール ether
アルデヒド aldehyde
ケトン ketone
カルボン酸 Carboxylic acid
エステル ester
アミン amine
ニトリル nitrile

 

結果的に、化学関連の翻訳を行う場合主に二つのパターンが存在すると言えます。

一つ目は、名称が固有の方法で表記される場合、規則を見つけることです。化学では特徴や性質により物質を区別する場合が多いためより簡単で効果的な翻訳が可能です。

二つ目は、名称がカタカナ表記の場合正確なスぺリングを見つけることです。一文字でもスペリングが異なる場合全く違う物質を意味してしまう可能性があるため大量の注意が必要となります。

一つ一つの化学単語にゆっくり注意をはらう事がたまご翻訳の最大のアドバイスです。

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