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医学

2018.03.18

治験

薬は人類の様々な病気を治療し、私たちの健康を保つ重要な役割を果たします。薬の開発は今まで正確な治療法が分かっていない病気のために行われたり、すでに存在している薬の効果や安全性を改善するために行われます。新しい薬を商品化するためには早くても10年、遅ければ20年ほどの年月と(薬にもよりますが)およそ数百億円の費用がかかるとされています。治験は新薬開発にあたって基本的なステップであり、最終的な開発品の安全性に非常に大きな影響をもたらします。

治験とは?

新しい薬剤が開発される際、消費者の安全性を保障する一番、基本的な過程が治験となります。治験は簡単に言うと新薬の効果や安全性を知るために試験管や研究室の中で薬剤の性能を試した後、動物や人に直接、実験対象になってもらう課程の事を意味します。治験は薬剤会社が行いたいといってすぐに実施できるものではなく、必ず厚生労働省の承諾を必要とします。薬剤会社が一度新しい薬の製造を企画する場合、まずは厚生労働省にその薬に関する今までの実験結果や情報、または会社独自の計画を提出し、承諾を申し込まなくてはなりません。承諾を得た後、治験は通常、病院で行われます。だからといって全ての病院で行うことが出来るわけではなく、特別な治験に対する基準を満たす病院内のみで実施が可能です。治験を行うにあたって必要な病院の条件には十分な医療設備、治験の内容を確認できる委員会の存在、緊急事態に十分に対応できる可能性などが含まれます。また、治験は三段階に分けられていて、それぞれの段階は次のようなプロセスが含まれています。

一段階:自ら協力する少数の健康な人(成人)を対象に新薬の安全性を検証

二段階:新薬の効果を期待できる特定な病気をかかえている少数の患者を対象に、薬の効果や副作用を検証

三段階:より多くの患者を対象としてさらなる新薬の安全性と有効性、正しい服用法を検証

治験と臨床試験の違い

治験は臨床試験に似ていますが厳密には異なります。大きな違いは、治験は新薬の製造にあたって必要な情報を得るために行われるものであり、臨床試験はすでに開発済みの薬の安全性や効果を再確認するために行われるものです。さらに治験は厚生労働省の承諾がないと実施できませんが、臨床試験は厚生労働省の直接的な承諾がなくても実施することが可能です。

治験と人

治験の最も重要な点は「ヒト」を実験対象にしている事と言えます。薬の種類によって健康な人に行ったり、特定の病気を持っている人に行ったりと多少の違いが出てきます。治験を行うときに重要な役割をする専門家のことをCTCと言います。彼らは治験に対する説明や患者の理解を助ける仕事をします。CTCは研究の調整に対しても重要な役を務めていて、例えば、治験に参加することを希望する患者でも家が遠かったり仕事が忙しすぎて必要な過程に参加できない場合を避けるために、患者側に十分な説明をしなくてはなりません。しかし、現在、世の中が治験を見る視線には否定的なものが多く、患者側も完璧に証明されていない治療法を行うことに拒否感を感じる場合が多いそうです。そのため、現在、厚生労働省の治験に関する目的の一つは治験に協力する人材の確保であり、医療機関と患者・国民との十分なコミュニケーションの確保、治験に関する認識や情報を簡単に得るための機会の増加などの企画がされています。

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Cambridge, England

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